ダイビングの耳抜きとは?

ダイビングの耳抜きとは?

ダイビング中に水圧の関係で耳に痛みや違和感を感じることがあります。それは飛行機が上昇・下降した時や、高層ビルの高速エレベーターに乗った時に耳が詰まったような感じになったり、痛み、違和感を感じたりするのと同じことで、耳に圧力を感じるからです。ダイビングでは気圧ではなく水圧の影響を受けるので、耳抜き(圧平衡)をすることが不可欠です。これが出来なければ耳が痛くて潜ることはできません。この痛みや違和感、閉塞感への対処法が『耳抜き』です。

ダイビングの耳抜きイメージ耳抜きが出来ないと、なぜ痛くなるのか??

水中に入ると耳(鼓膜)に水圧がかかります。水圧のお話はどの指導団体でも少しは学科の中で勉強をしていますのであまり書きませんが、要するに耳抜きに対しては鼓膜を押す力です。
水圧を感じるスピードは人によって違うので50cm潜ったらもう痛いという人もいますし、2m潜ってもまた大丈夫な人もいます。ただ、皆さん水圧を受けていますので、その水圧が鼓膜を内側に押していきます。潜り始めは少しの違和感を感じ、もう少し潜って何もしなければ痛みを感じてきます。表現が正しいかは分かりませんが・・・イメージは鼓膜は大きく内側に伸びている状況です。この内側に伸びてしまった鼓膜を元の位置に戻してあげる。これが耳抜きです。

耳抜きのやり方?

ダイビング中に一番よくされる耳抜きの方法は、バルサルバというテクニックです。

1.口から息を少し吸って、吸った空気が口から漏れないように喉の奥を閉める
ダイビング中はマウスピースを咥えています。どうしても口から息が漏れてしまう人は舌を上顎に押し当ててください。口から少し吸うというのもポイントです。
よく大きく吸い込む人がいますが、これだと肺に空気がたくさん入ってしまって水面へ逆戻りなんてことが良くおこります。少し吸うだけでも耳抜きは出来るはずです。

2.鼻から空気が漏れないよう鼻をしっかり摘む
マスクをしているので鼻をつまむのは少し大変ですが、漏れないように2つの指でしっかり摘んでください。

3.目から空気が漏れる人は目を閉じる
たまに目から空気が漏れてしまうという方は目を閉じるのも良いでしょう。目から空気が漏れない方は目を閉じなくても大丈夫です。

4.鼻をかむように鼻に空気を送る
ゆっくり、だんだん強くしていくのがコツです。一気に空気を送ると鼓膜を傷めたり穴が空いてしまったり、中耳炎になってしまうこともあります。強くやりすぎないように注意してください。

5.耳への意識を集中する
吸って漏れないように溜めた空気が耳の方へ流れるように意識を集中します。
空気がどこからも漏れなければ空気は耳に流れます。鼓膜が外に押し出され違和感がなくなれば成功です。

他には鼻をつまんで唾を飲む方法。顎を動かす方法などがあります。

人によって抜けやすい方法が違います。抜けない時は焦らず、いろんな方法を試してみてください。

耳抜きのコツ

これも人によって合う、合わないがあると思います。ご紹介しますので、色々試してみてください。

・ダイビング前にガムを噛む、飴をなめる
顎、耳周りの筋肉の緊張を取る効果があります。

・水中に入る前に1度耳抜きをしておく
水圧がかかる前に1度耳官に空気を通してあげると、水中での耳抜きがスムーズになります。

・頭からではなく足から潜行しましょう
耳抜きの苦手な方は可能ならばロープを使って潜行してください。決して恥ずかしいことではありません。

・耳抜きは頻繁に行ってください
傷みを感じてからでは遅いです。耳官が水圧のよって細くなり余計に空気が通りにくくなります。違和感を感じたらすぐに耳抜きをしましょう。

・抜けにくい、抜けなくなった時は少し浮上して再チャレンジ
抜けにくい、抜けなくなった時はそれ以上深く潜って耳抜きをしても抜けることはありません。少し浮上(1m程)することで水圧が弱くなり空気は通りが空くなります。
全く抜けない場合は耳官が詰まってしまっている可能性がありますので、詰まりが取れるところまで浮上します。

・片耳だけ抜けない場合は、抜けていない方の耳を水面に向ける。
同時に抜けていない方の耳の後ろや首筋を揉んだり伸ばしたりするのも効果があるかもしれません。

耳抜きが出来ない時は?

あわてずにインストラクターやガイドに知らせてください。前述したように一緒に浮上したり潜行したりしながらゆっくりと潜っていきます。どうしても抜けない時にはダイビングを中止する勇気も必要です。仕事をしているわけではありません。レジャーですので傷みに耐えながら、ましてケガや病気をしては意味がありません。耳抜きはその時の体調によっても抜けにくい日、抜けやすい日があります。体調を整えて次のダイビングに備えてください。

ダイビングの耳抜きイメージ耳抜きはしにくくなる要因は?

お酒の飲みすぎ、寝不足、鼻炎(花粉症等)、疲れ
沖縄に来れば楽しい時間、美味しいお酒でついつい寝るのが遅くなってしまうことも・・・。
これらはすべて耳抜きがしにくい要因です。
私もダイビング前日にお酒を飲みますので、飲むなとは言いませんがほどほどに!!
次の日に残らないようにダイビング前日は早めに切り上げて睡眠時間も確保してください。
ダイビング前日は体調を整えることが大切です。
耳抜きのしにくい人は特にご自分で減らせるリスクは減らしましょう。

耳抜きのしにくい人は宣言を!!

どんなに対策をしても、どんなに練習しても、耳抜きのしにくい人は耳抜きはしにくい。
だったら初めから一緒にダイビングするみなさんに「私は耳抜きが苦手なので御迷惑をかけてしまうかもしれません」と言ってしまいましょう。何も言わずに水中で待たされているより印象がいいと思います。予約時には耳が抜けにくいと伝えておくのもいいと思います。

深いダイビングは耳抜きが大変??

初心者の人に多いですが、深いダイビングの時に耳抜きが大変になると勘違いしている人がいます。それは間違いです。むしろ耳抜きの回数的には少なくなって、楽になっていきます。
10m単位で考えれば、0m~10mの範囲が1番圧力変化が大きいので1番大変です。もし、この範囲で潜行している時に4回耳抜きが必要な人は、20m~30mであれば2回で済みます。ですから、深いダイビングを怖がる必要はありません。

耳抜きが大変な人ほど中性浮力を!!

浮いたり沈んだりが激しければ、耳抜きの回数が増えてしまいます。ポイントにもよりますが、なるべく上下しないように泳きその深度まで到達してたら、それ以上耳抜きの必要がありません。上下していれば、沈むたびに耳抜きをする必要が出てしまいます。上下を繰り返すと、だんだん耳が抜けにくくもなります。
中性浮力が取れていれば泳ぐのはもちろん楽ですし、耳にも負担がかかりません。耳抜きが大変な人ほど中性浮力を磨きましょう。

浮上中の耳の痛みについて

耳抜きが苦手ない人、風邪や鼻炎の人などに多いですが、浮上中に耳に痛みを感じる人がいます。これはリバースブロックと言い、浮上中に水圧が下がり鼓膜の内側にある空気が膨張して上手く逃げていかない時に痛みを感じます。潜行中は鼓膜が内側に押されるので元の位置に戻すために耳抜きをしますが、浮上中は膨張している空気に押されて外に鼓膜が膨らんでいる状態です。ですから基本的には空気は逃げるのを待つしかありません。分からずに浮上中に耳抜きをしてしまうと膨らんでいる鼓膜にさらに空気を入れて膨らましていることになり鼓膜を傷めてしまうことになります。
浮上中に耳に痛みを感じたら浮上速度をゆっくりにするか、その場で止まる。それでも痛みが治まらない時は、少しだけ潜行して空気が逃げるのを待ってください。